30代で施工管理の転職を考えるとき、「年収800万円」は目標にしやすい数字です。ただ、管理職ではなく平社員として転職して年収800万円以上を得るのは、結構ハードルが高いと私は考えています。今回は、30代の施工管理転職希望者が知っておくべきことを、私の実体験と数字をもとに9つにまとめました。
先に結論をお伝えすると、残業で稼ぐ方向なら派遣の施工管理が強いです。私は派遣の施工管理で、2024年に年収862万円でした。
この記事の内容は、YouTubeの動画でも解説しています。まずは、今回紹介する9つのことです。
- 平社員の転職で年収800万円以上は難しい
- 年収800万円で転職すると即戦力を期待される
- しかも周りはストイックなエリートばかり
- 激務化は避けられない
- 最初の半年はボーナスがない
- 派遣でも年収800万円なら届く
- 派遣は副業を伸ばす道もある
- 仕事がなくなる時代がくる
- 10年後のキャリア戦略は無意味になりつつある
年収800万円の転職は、平社員だとハードルが高い
管理職での転職ではなく、平社員での転職で年収800万円以上というのは、結構ハードルが高いです。参考までに、国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)では、給与所得者の平均給与は478万円でした。年収800万円は、その1.7倍近い水準です。
一部の大企業への転職であれば、平社員でも年収800万円を超える会社はあります。ただし、その場合は選考が厳しくなります。入社後に求められる能力も高くなります。
年収800万円で転職した後に待っていること
800万円で転職すると、即戦力を期待される
年収800万円という金額は、会社が「それだけの成果を出してくれる人」に払う金額です。入社した直後から、即戦力として見られます。慣れるまで教えてもらう、という期待は持ちにくくなります。
しかも周りはストイックなエリート
年収800万円の平社員を採用する会社には、同じように選考を勝ち抜いた人が集まっています。周りは、仕事に妥協しないストイックなエリートばかりです。その中で標準以上の成果を出し続けることが、当たり前の水準になります。
激務化は避けられない
即戦力として期待され、周りもハイレベルなため、仕事が激務化するのは避けられません。年収が上がった分、責任と業務量も増えます。心と時間の余裕は、確実に減ります。
最初の半年はボーナスがない
もうひとつ見落としやすいのが、ボーナスです。会社によって異なりますが、賞与には算定期間があり、入社して最初の半年は支給対象にならないことがあります。年収800万円の内訳にボーナスが含まれている場合、入社1年目の実際の収入は、提示された金額より少なくなる可能性があります。転職前に、賞与の算定期間と1年目の支給額は必ず確認してください。
残業で稼ぐなら、派遣の施工管理が強い
ここからは、年収800万円を派遣の施工管理で目指す方法です。残業で稼ぐ方向なら、派遣の施工管理が強いです。理由は、1時間あたりの残業代が、派遣の方が高くなるからです。
残業代の計算式
私の著書『派遣の施工管理で3,000万円作った方法』にも書いていますが、1時間あたりの残業代は、次の式で計算できます。
1時間の残業代=(基本給+各種手当)÷1カ月平均の所定労働時間×割増率
私のいた派遣会社では、1カ月平均の所定労働時間は160時間で計算されていました。割増率は1.25です。基本給+各種手当が50万円の派遣社員なら、1時間あたりの残業代は、50万円÷160時間×1.25=3,906円になります。
派遣は、同じ金額を稼ぐのに必要な残業が少ない
正社員の給与は、ボーナスを見込んで設計されています。そのため、基本給+各種手当だけを比べると、ボーナスがない派遣社員の方が高くなります。例えば、基本給+各種手当が35万円でボーナスが100万円の正社員の場合、1時間あたりの残業代は、35万円÷160時間×1.25=2,734円です。
この正社員が年収700万円を稼ぐには、月平均54.9時間の残業が必要です。一方、基本給+各種手当が50万円の派遣社員なら、月平均21.3時間の残業で年収700万円になります。正社員は、派遣の約2.5倍の残業をしなければなりません。
派遣で年収800万円に届くシミュレーション
では、年収800万円ならどうでしょうか。基本給+各種手当が50万円の派遣社員で、月の残業時間ごとの年収を計算しました。
| 月の残業時間 | 月収 | 年収 |
|---|---|---|
| 20時間 | 578,120円 | 693.7万円 |
| 30時間 | 617,180円 | 740.6万円 |
| 40時間 | 656,240円 | 787.5万円 |
| 43時間 | 667,958円 | 801.5万円 |
月43時間の残業で、年収800万円に届きます。同じ条件で、ボーナス込みの正社員(基本給+各種手当35万円、ボーナス100万円)が年収800万円に届くまでに必要な残業時間も計算してみます。
| 月の残業時間 | 年収 |
|---|---|
| 20時間 | 585.6万円 |
| 40時間 | 651.2万円 |
| 55時間 | 700.4万円 |
| 70時間 | 749.7万円 |
| 85時間 | 798.9万円 |
正社員が年収800万円に届くには、月約85時間の残業が必要になります。派遣の約43時間と比べると、およそ2倍です。月80時間を超える残業は、一般に過労死ラインと言われる水準です。同じ金額を稼ぐなら、少ない残業で届く方が、体にも時間にも余裕が残ります。

契約単価が上がると、年収800万円に必要な残業はさらに減る
派遣の給与は、契約単価(基本給+各種手当)で決まります。契約単価が上がるほど、1時間あたりの残業代も高くなり、年収800万円に届くまでに必要な残業時間は短くなります。基本給+各種手当(残業別)ごとに、年収800万円に必要な月平均の残業時間を計算しました。
| 契約単価(残業別) | 1時間の残業代 | 800万円に必要な月平均残業 |
|---|---|---|
| 50万円 | 3,906円 | 約43時間 |
| 55万円 | 4,297円 | 約28時間 |
| 56.7万円(私の退職前) | 4,430円 | 約23時間 |
50万円の契約なら、平均43時間の残業で年収800万円に届きます。55万円の契約なら、平均28時間です。私は退職前の契約単価が56.7万円だったので、月平均わずか23時間の残業で年収800万円に届く計算になります。
激務でたくさん残業して年収800万円を稼ぐ正社員よりも、派遣で年収800万円を稼ぐ方が、コスパもタイパも良いと私は考えています。同じ年収800万円でも、働く時間が大きく違うからです。
さらに、寮費0円で支出を低めに抑えられるので、資産形成にも有利です。稼いだ分が手元に残りやすく、残った時間と心の余裕を、副業や勉強、旅行にも使えます。

ただし、これは計算上のシミュレーションです。現場や契約によって、基本給や残業の量は変わります。実際に年収800万円に届くかどうかは、条件を確認したうえで判断してください。
私の実際の2024年の給与。年収862万円
シミュレーションだけでなく、私の実際の数字もお見せします。1級管工事施工管理技士を取得した30代の派遣社員で、基本給と各種手当を合わせて50万円台前半でした。2024年の給与は次のとおりです(非課税の交通費などを除いた支給額です。1月には祝い金10万円を含みます)。
| 支給月 | 総支給 | 社会保険料 | 手取り | 出勤日数 | 残業時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月 | 789,676 | 177,779 | 611,897 | 20.0 | 38.50 |
| 2024年2月 | 774,608 | 175,419 | 599,189 | 21.5 | 59.00 |
| 2024年3月 | 586,421 | 140,940 | 445,481 | 18.0 | 8.75 |
| 2024年4月 | 695,890 | 160,597 | 535,293 | 19.0 | 40.00 |
| 2024年5月 | 839,031 | 188,376 | 650,655 | 22.0 | 70.50 |
| 2024年6月 | 749,261 | 119,718 | 629,543 | 21.0 | 48.75 |
| 2024年7月 | 688,020 | 164,810 | 523,210 | 19.0 | 36.50 |
| 2024年8月 | 679,654 | 162,730 | 516,924 | 23.0 | 34.50 |
| 2024年9月 | 776,516 | 180,521 | 595,995 | 19.0 | 33.75 |
| 2024年10月 | 715,209 | 177,001 | 538,208 | 22.0 | 43.00 |
| 2024年11月 | 735,275 | 180,242 | 555,033 | 23.0 | 21.50 |
| 2024年12月 | 591,811 | 154,911 | 436,900 | 20.0 | 13.50 |
| 年合計 | 8,621,372 | 1,983,044 | 6,638,328 | 247.5 | 448.25 |
年収は862万円、手取りは約664万円でした。残業時間は、休日出勤を含めて月平均37.35時間です。残業が少なかった3月や12月でも、月収は60万円近くありました。残業が多い月だけでなく、少ない月でもしっかり収入がある点が、派遣の施工管理の強みだと感じています。
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派遣は余裕があるから、副業にも取り組みやすい
派遣の施工管理は、精神的にも時間的にも余裕があります。責任の重さが正社員ほどではなく、仕事の範囲も明確なので、家に帰ったら仕事のことは頭から離れます。その余裕を、副業に使うことができます。
正社員の場合は、家に帰っても次の日の仕事のことで頭がいっぱいになりがちです。副業をする余裕なんてない、という人も多いと思います。派遣という働き方は、本業で収入を確保しながら、自分の収入源を育てる時間と気力を残せます。副業を伸ばす道もあるのは、大きなメリットです。なお、副業が認められるかどうかは、派遣元の就業規則や契約によって異なるため、事前に確認してください。

仕事がなくなる時代がくる。AIによる大失業時代
ここまでは年収の話をしてきましたが、もうひとつ、30代の転職で必ず考えておきたいことがあります。AIによる大失業時代が、近づいているかもしれないことです。
イーロン・マスク氏は、2026年9月1日のG20イノベーション閣僚会合で、「10年後には、10億台をはるかに超える人型ロボットが存在する」と語りました。ロボット1台あたりの生産性は、人間の約5倍になるだろうとも述べています。
2025年11月の米国・サウジ投資フォーラムでは、10〜20年後には「仕事は選択制(optional)になる」と予測しました。仕事は、スポーツやゲームのように、やりたい人がやるものになるという趣旨です。2024年5月には「おそらく私たちの誰も仕事を持たなくなる」という趣旨の発言もしています。さらに2025年12月には、AIによる失業への対処として、政府が支給する「ユニバーサル・ハイ・インカム」が最善だとXに投稿しています。
また、AI企業Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、2025年5月に、AIが数年のうちに、新人レベルのホワイトカラーの仕事の半分を置き換える可能性があると警告しました。失業率が10〜20%になる可能性にも言及しています。
これらは、あくまで予測です。人型ロボットは、まだ動作が遅くミスも多く、多くの現場で使える段階ではないという報道もあり、10億台が実現するかどうかは誰にも分かりません。ただ、マスク氏の言うような、働かなくても生活できる仕組みが実現する保証もありません。仕事がなくなる未来に備えるなら、働いて収入を得られるうちに、資産を作っておく必要があります。

10年後のキャリア戦略は、無意味になりつつある
30代で年収800万円の正社員に転職して、10年後に役職がついて、年収1000万円や1200万円になる。そんなキャリアが想定できた時代は、確かにありました。
今は、大失業時代待ったなしと言われる状況です。マスク氏の予測どおりなら、10年後の世界は、今とはまったく別のものになっているかもしれません。10年後のキャリア戦略を描くこと自体が、無意味になりつつあると私は考えています。仕事がなくなれば、資産を作り出すための原資、つまり収入がなくなるからです。だからこそ、一刻も早く資産形成を終わらせることが重要です。
私は、派遣の施工管理で借金を返し終わり、30代のうちに資産3000万円に到達しました。資産は、今も増え続けています。年収の高さを追いかけるよりも、手元に残るお金と、資産形成を終えるまでのスピードを重視した結果です。

まとめ。年収800万円の転職で、まず確認したいこと
30代の施工管理転職希望者が知っておくべきことを、9つにまとめました。平社員で年収800万円以上の転職はハードルが高く、入社後は即戦力として激務になりやすいこと。残業で稼ぐなら、派遣の施工管理は同じ金額に必要な残業が少なく、年収800万円にも届くこと。そして、仕事がなくなる時代が来るかもしれない今、資産形成を急ぐことが重要だということです。
もちろん、どの働き方が正解かは人それぞれです。大切なのは、年収の額面だけでなく、手元に残るお金、時間、心の余裕まで含めて比べることです。年収1000万円の正社員と年収750万円の派遣社員を比べた記事も、あわせて読んでみてください。
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