AutoCADの作図を自動化する考え方:Excelで座標計算してコマンドを生成する方法

A点を原点(0,0)に固定し、AB=a、BC=bからB・C・D点の座標を自動計算する仕組みを示した図 CAD・プログラミング

先日、昔作ったAutoCADの自動化の仕組みを動画で公開しました。動画では実際の動きだけを見せましたが、今回のブログでは「なぜあの仕組みで図面が自動で描けるのか」を、もっと細かく解説します。取り上げるのは私が実際に作ったツールそのものではなく、その土台になっているシンプルな考え方です。長方形を自動で描く手順を例に、座標計算の基本を整理します。

長方形の4点を座標で考える

まず、長方形の4つの角に名前を付けます。左下をA点、右下をB点、右上をC点、左上をD点とします。A点を座標の原点(0, 0)に固定し、AB間の長さをa、BC間の長さをbとすると、4点の座標は次のように表せます。

A点を原点(0,0)に固定し、AB=a、BC=bからB・C・D点の座標を自動計算する仕組みを示した図
長方形の4点と座標の関係

A(0, 0)、B(a, 0)、C(a, b)、D(0, b)。a=200、b=100という具体的な数字を当てはめれば、A(0,0)、B(200,0)、C(200,100)、D(0,100)になります。ここまでは座標の整理をしただけです。

通常のAutoCAD操作:rectangleコマンドを手入力する場合

AutoCADで長方形を描くとき、rectangleコマンドを使えば対角の2点を指定するだけで図形が完成します。先ほどの例で、左上のD点と右下のB点を対角として指定する場合、コマンドラインには次のように入力します。

rectangle
0,100
200,0

これで座標(0,100)と(200,0)を対角とする長方形が描けます。ここまでは、座標を自分で計算して手入力しているだけの、ごく普通のAutoCAD操作です。

独立変数と従属変数という考え方

この手入力を自動化するときのポイントが、独立変数と従属変数という考え方です。独立変数とは、自分で自由に決めて入力する値のことです。今回の例では、長方形の幅であるaと、高さであるbが独立変数にあたります。一方、従属変数とは、独立変数から計算式によって自動的に決まる値のことです。A点の座標は原点として固定されていますが、B・C・D点の座標は、aとbが決まった瞬間に自動的に計算できます。つまりB(a, 0)、C(a, b)、D(0, b)は、いずれもaとbに従属する値です。人が座標を毎回手計算するのではなく、aとbさえ入力すれば残りは自動で決まる、という状態を作るのがこの考え方の目的です。

Excelで座標を自動計算する

この独立変数・従属変数の関係は、そのままExcelの表として組むことができます。aとbの値を入力するセルを1つずつ用意し、それ以外の座標は、すべてそのセルを参照する数式にしておきます。イメージは以下のとおりです。

Excelでa,bを独立変数として入力し、座標計算とAutoCADコマンド文字列を従属変数として自動生成する表のイメージ
Excelでの座標計算イメージ

a・bのセルだけが独立変数で、その他のセルはすべて数式で自動計算される従属変数です。この段階で、aやbの値を変更すれば、B・C・D点の座標も連動して自動的に変わるようになります。長方形のサイズを変えるたびに、電卓で座標を計算し直す必要はありません。

座標からAutoCADコマンドを自動生成する

最後のステップは、計算された座標をもとに、AutoCADにそのまま貼り付けられるコマンド文字列を、これも数式で自動生成することです。Excelの文字列結合(CONCATENATE関数や&演算子)を使い、「rectangle」という文字列と、座標を参照するセルを改行でつないでいきます。すると、a・bを入力しただけで、コマンドラインに貼り付け可能な次のようなテキストが自動的に出来上がります。

rectangle
0,100
200,0

このテキストをコピーしてAutoCADのコマンドラインに貼り付ければ、クリック操作をせずに長方形が描画されます。a・bを変更すれば、生成されるコマンド文字列も自動的に更新されるので、サイズ違いの図形をいくつも描く作業が一気に短縮できます。

この仕組みの応用範囲

ここまで解説したのは、長方形1つを自動で描くための、もっとも単純な仕組みです。動画で公開した私自身のツールは、この「独立変数を決めれば、座標もコマンドも従属変数として自動生成される」という考え方を、長方形以外の図形や、複数の図形を連続して配置するケースにまで広げて応用したものにすぎません。土台になっている考え方自体は、今回説明したシンプルな仕組みと同じです。AutoCADの操作に限らず、繰り返しの多い作図作業がある方は、まず今回のような単純な図形から、独立変数と従属変数を意識した自動化を試してみることをおすすめします。CADの効率化は、AutoCADのオンラインレッスンでも扱っているテーマで、CADのスキルはCADオペから施工管理へのキャリアチェンジを考える際にも役立ちます。聞きたいことがあればXもしくはLINEで回答します。

まとめ

AutoCADの作図自動化は、特別な機能を使っているわけではなく、独立変数(自分で決める値)と従属変数(そこから自動計算される値)の関係を、Excelの数式とコマンド文字列の生成に落とし込んでいるだけです。今回の長方形の例のように、まずはシンプルな図形で仕組みを理解しておくと、より複雑な作図の自動化にも応用が利くようになります。

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